2017/07/03 08:00


2017/07/03 08:00

8月にはMaker Faire Tokyoが開催されるが、この夏はアジア各国でもMaker Faireが行われている。アジアにはまだ「はじめてのMaker Faire」や、小さいイベントを盛り上げていこうとする途中の荒削りなMaker Faireがあり、東京とは違った魅力がある。Makeの世界は広い。今回は日本から出展しやすいアジアのMaker Faireを紹介する。


Make Tokyo Meeting、マイナーなイベントだった頃を懐かしむ

今年もMaker Faire Tokyoへの出展の当選・落選が発表され、Makerたちの悲喜こもごもが見られた。Maker Faire Tokyoは、毎年会場を拡大し、大規模化しているが、残念ながらそれを上回る速度で出展希望者が増えている。

筆者が初めて出展したのは、Maker Faireの前身Make Tokyo Meetingの、2009年に行われた第4回のことだった。そのころは無料で告知も少なく、「こんな面白いものに人を呼ぶためにはどうするか」に必死だった記憶がある。第0回から第4回までのMake Tokyo Meetingは開催ごとに会場が変わり、時期もバラバラに手探りするような状態で年2回実施していた。このころは、「次のMake Tokyo Meetingがあるのか」は約束されていなかった、期待もプレッシャーも競争もない牧歌的な時代で、希望者はほぼ全員出展できていた。

Make Tokyo Meeting当時は日本独自のイベントとしていたが、2013年からアメリカのMaker MediaがMaker Faireを世界中にライセンスするようになったのに伴い、日本もMaker Faireとして仕切り直すことになった。日本科学未来館 (2013、2014)や東京ビッグサイト(2015、2016)での開催となってからの盛況ぶりはみなさんご存じの通りだ。

どちらも2011年に行われた「Make Tokyo Meeting
07」の写真。この翌年からMaker Faire
Tokyoとしてリスタートした。

上の写真は「Maker Faire Tokyo 07」のものだ。大イベントでひっきりなしに来場者が来ていた記憶があるが、いま写真を見てみるとMaker Faireに比べてだいぶのんびりしている。

一大イベントとなってしまった今のMaker Faireを前に、手作り感が残っていて思いついたものを気軽に出展でき、ブースをしばらく閉めて他の出展を見に行けたりした昔のMake Tokyo Meetingを懐かしむMakerたちの声もよく聞く。

日本では「みんなが知っていて、毎年行われるもの」になったMaker Faire。ほぼ10年にわたる歴史を積み重ねてきた日本でのMakeイベントと違い、他のアジア諸国では「今からまさに自分たちのMaker Faireを作り始める」国がいくつもある。すでに何度もMaker Faireを開催した国でも、東京とはまた違った時間の積み重ねがある。
Makeの世界は広い。Maker Faire Tokyoとは違った楽しみ方ができて、日本から気軽に出展できるいくつかのMaker Faireを紹介しよう。

中国らしい大規模さが期待できる Maker Faire Xian(中国・西安)

Maker Faire
Xianのサイン。秦始皇帝陵の兵馬俑で知られる西安だけに、Maker
FaireのシンボルMakeyが兵馬俑型になっている。

2017年、初めて中国の西安でMaker Faireが開かれる{.markup–anchor .markup–p-anchor}。Miniではなくて大サイズのフェアをいきなり開く西安は中国の中でも大学の多い文教都市として知られ、日本の京都と姉妹都市になっている。旧名の長安は奈良や京都(というより平城京や平安京)のモデルとなった。会場は中国陝西省西安市 曲江国際会展中心というコンベンションセンター。

Maker Faire
Xianでは、巨大なステージで明和電機などがパフォーマンスを行う。写真右下の赤いMakeyの高さが5mなので、ステージの巨大さがわかる

今回は西安市が大きな投資をしていて、世界からさまざまなMakerを招いている。VRエヴァンジェリストのGOROman氏{.markup–anchor .markup–p-anchor}が登壇するほか、ブースとしてデイリーポータルZ{.markup–anchor .markup–p-anchor}、ロボットバンド「こさんくん」{.markup–anchor .markup–p-anchor}、ロボットプロレス「流血仮面」{.markup–anchor .markup–p-anchor}、ヒゲキタ氏の3Dプラネタリウム{.markup–anchor .markup–p-anchor}など、Maker Faire TokyoでもおなじみのMakerたちが招待されているほか、Nerdy Derby{.markup–anchor .markup–p-anchor}やMakeFashion{.markup–anchor .markup–p-anchor}など欧米のMakerたちも見ることができる。

ステージで行われる予定のMakeFashion。カナダのカルガリーから参加。(写真はMaker
Faire
成都 2016)

Maker Faire成都 2016での「ロボットプロレス流血仮面」{.markup–anchor .markup–figure-anchor}

一般募集は締め切られてしまっているが、西安では日本Maker達の出展を歓迎するため、個別に申し込まなくても合同出展できる日本人Maker出展ブースを設けている。こちらのページ{.markup–anchor .markup–p-anchor}に出展案内があり、Googleスプレッドシートの申し込みを書けば、当日いきなり会場に作品を持ち込むだけで出展できる。他の日本人と並んでの共同出展なので、作品を持ち込みつつ交代で会場を見学することもしやすいだろう。共同申し込みのサポートサイトでは最小限の時間と予算で往復するための航空券の案内など、さまざまな情報が掲載されている。

日時:2017/07/15~16
会場:中国陝西省西安市 曲江国際会展中心
公式サイト:情報少なく、Facebookグループ{.markup–anchor .markup–p-anchor}を確認するのがお勧め
日本人向け共同出展案内:http://j.nicotech.jp/ntxian2017 中国のロボット作者による鉄製のMakeyも制作中。口から火を噴くという。

STEM教育とMakeの融合が見られる Maker Faire Singapore (シンガポール)

Maker Faire Xianの翌週、東南アジアの都市国家シンガポールでMaker Faireが開かれる。教育省の配下にあるサイエンスセンターシンガポールが主催で、Fabcrossではシンガポールの国家戦略に組み込まれる Maker Faire Singapore 2016{.markup–anchor .markup–p-anchor}などで紹介した。

昨年のMaker Faire
Singaporeでは、シンガポールの外務大臣兼スマート国家担当ヴィヴィアン氏ほか、複数の大臣がほぼ全ブースをまわった。

STEMのレポート{.markup–anchor .markup–p-anchor}が評判になったとおり、シンガポールは教育熱心な国として知られ、Maker Faireも親子での出展や教育関係のブース、プレゼンテーションが非常に多い。また、10日間2万円で電波認証(いわゆる技適)が取れたのレポート{.markup–anchor .markup–p-anchor}で紹介したIMDAや、失敗を恐れるシンガポール人気質を変えるSTEM教育{.markup–anchor .markup–p-anchor}のサイエンスセンターほか各種学校など、パブリックセクターからの展示が多いのも特徴で、Makeと教育をテーマにしている人はチェックする価値のあるフェアだろう。アメリカ・ベイエリアのMaker FaireにはMake:Educationという教育関連パビリオンがあるが、そのパビリオンがそのまま大きくなった感じだ。

シンガポールのMaker Faireは2012年のMini Maker Faireに始まり、2013年からMaker Faireとなって2017年で6回目を迎える。僕は2014年から実行委員を務めている。会場は毎年変更されていて、今年は第1回を開いたサイエンスセンターに戻ってきた。第1回は小さいホールで行っていたが、今回はサイエンスセンター全体を使い、400以上のブースが出展する巨大イベントとして開催することになる。

多民族国家で、東南アジア諸国からも多くのMakerが集まるシンガポール

こちらも一般募集は締め切っているが、僕がまとめ役をしている日本人合同出展ブースは現在も受付中で、事前にスプレッドシートを書いてもらえば当日いきなりでも出展できる。英語が通じ、移民国家なので公共交通ほかさまざまなルールが「はじめて来る人」にやさしくできている旅行しやすい国なので、はじめての海外Maker Faireとしてお勧めでもある。

日時:2017/07/22~23
会場:Science Centre Singapore
公式サイト:http://makerfairesingapore.com/{.markup–anchor .markup–p-anchor}
日本人向け共同出展案内:http://j.nicotech.jp/nt_Singapore_2017

もっとも日本に近いカルチャーのMaker Faire Taipei(台湾・台北)

台湾のMaker Faireは、日本と同じく出版社が運営しているせいか、ホビーベースの出展が多く、Maker Faire Tokyoと似たキャラクターがある。日本からは3~4時間で到着でき、LCCも多く飛んでいるため、宿泊費や移動時間を考えると関西や九州からMaker Faire Tokyoに行くよりも身近な部分があり、ここ数年日本からの参加者が倍々ゲームで増え続けている。

2016年の共同出展の様子。ここに映っていない人たち含め、20人以上が日本から出展した。

海外のMaker Faireはどこも日本のものよりビジネス・スタートアップ色が強く、「これはいくらなの?」「どういうビジネス展開を?」などと聞かれることが多いが、台北ではヘボコンや「役に立たないガジェット選手権」など、楽しむための工作も多く出展されている。
日本からの展示はニコニコ技術部からの、笑わせるためのネタ工作が多いものだったが、台北のMaker Faireを訪れる人たちは大いに楽しんでいた。

教室からいつでも逃げ出せるように、電動化した勉強机。台北のフェアでは東京の次にこういうネタ工作を見かける。

台北のMaker Faireは現在も申し込みを受け付けているが、出展費とデポジット(預かり金)が必要で、委員会とやりとりをしなくてはならない。例年どおり日本人グループの共同申し込みを僕が手配しているので、そこ経由でスペースを確保することもできる(出展費は割り勘)。

日時:2017/11/03~05
会場:華山1914創意文化園區
公式サイト:http://www.makerfaire.com.tw/{.markup–anchor .markup–p-anchor}
日本人向け共同出展案内:http://j.nicotech.jp/nt_taipei_2017 昨年、日本から共同出展したブース。

アジア全体に広がっているMaker Faire

ほかにも8月12~13日にMaker Faire Beijing(中国・北京)、9月2~3日でMini Maker Faire Penang(マレーシア・ペナン)など、アジア全体では1カ月に数度Maker Faireが開かれている。米Maker Mediaのサイトを見ると、世界全体では毎週末2~3回はMaker Faireが開かれている。

海外のMaker Faireに出展した人たちは口々に、違うカルチャーに触れた驚きとMaker同士であれば充分に会話が通じることを語る。それは日本のMakerコミュニティをもっと面白くする。ぜひ海外のMaker Faireに出展してみよう。

By TAKASU Masakazu/高須正和{.p-author .h-card} on March 23, 2025.

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