2017/02/22 08:00
タイらしさ爆発、大人も子どもも楽しめるBangkok Mini Maker Faire 2017レポート
2017/02/22 08:00
「微笑みの国」と呼ばれ日本人から人気の高いタイ。2017年で2回目になる「Bangkok Mini Maker Faire」は、昼過ぎから始まる/夜はパレードが行われるなど、シンボルマーク含めてキャラクターが立ったイベントとなった。遊び心に満ちた出展物が並んだ、バンコクのMaker Faireをレポートする。
タイらしさ爆発、昼からスタート、夜はパレードのMaker Faire
Bangkok Mini Maker Faire 2017{.markup–anchor .markup–p-anchor}は1月21~22日の2日間、バンコク中心部のThe Street Ratchada{.markup–anchor .markup–p-anchor}というショッピングモールのイベントスペースで開かれた。以前レポートした成都のMaker Faire{.markup–anchor .markup–p-anchor}同様、普段から若者が集まるオシャレな場所である。どの都市のMaker Faireもその都市ならではの魅力に満ちているが、バンコクでのMaker Faireはさらに"ここだけ感"が強く、タイという国が持っている文化の強さを感じた。2日とも13:00~20:00という朝寝坊でそのぶん遅めまでの時間帯で行われたMaker Faireは、南国タイらしい楽しみにあふれたものになった。


夜20:00までやっているのは理由がある。南国のタイでしかも屋外で行われているため、気温が高いだけでなく直射日光が強烈で、午後の早い時間はどのブースもぐったりしていて、見て回る人も少ない。僕は初日のオープン30分前には会場に着いていたが、13:00のオープン時にはまだ設営が始まってないブースすら見かけた。規模も2~3時間で見て回れるとあって、盛り上がり始めるのは夕方17:00ぐらいになってからである。ナイトマーケットの国タイらしい。初日の19:00には、日が落ちたタイミングで会場全体を巻き込んでLEDパレードが始まった。
多くの出展者がLEDをつけて会場を練り歩く。
ブラスバンドには委員長のDr.Morn Kritsachai Somsamanも参加。子どもがたくさん来る科学のイベントで「ドラえもん」は最高の選曲。





遊び心に満ちた出展物たち
Bangkok Mini Maker Faireの運営はNational Science and Technology Development Agency{.markup–anchor .markup–p-anchor}(以下NSTDA)というタイの公的機関によって行われている。日本の経産省や産総研などにあたる組織であり、子ども向けのテクノロジー教育なども担当している。運営委員長のDr. Morn Kritsachai Somsaman(以下Dr. Morn)もNSTDAの職員だ。なので学生が研究として行っているような出展物が多いんだろうな、と筆者は予想していた。
ところがこれが大違いで、日本や台湾のMaker Faireでないと見られないような遊び心に満ちた出展物が会場を走り回っている。
これが本当のモバイルコンピュータ
大笑いしたのがこのデスクトップPCにタイヤをつけて会場を走り回るモビリティ。本当の「モバイルコンピュータ」だ。なんとNSTDA内のMakerコミュニティ MakerHolic{.markup–anchor .markup–p-anchor}からの出展だ。
天使の羽が動く
こちらは天使の羽が動く、コスプレ+電子工作の作品。もちろんナイトパレードでも大活躍。

こちらは太陽電池を備えたカート。足こぎ式のおもちゃにモーターとバッテリを仕込んだもので、会場内を走り回っていた。この面積の太陽電池でずっと走り回れるとは考えづらく、充電式バッテリとの兼用だと思うが、子どもを前提にしたサイズのおもちゃを作るのは面白い。
クオリティの低さやユニークな発想が結果としてユーモラス見えるものはよくあるが、これらの作品は最初から「全体的なユーモラスさ」を志向していると感じた。お笑いのためだけに作ったというわけでもないが見ていると思わず笑顔になる、「言葉ではうまく説明つかないがなんだか面白いもの」は、昔「Make Tokyo Meeting」と称していたころのMaker Faire Tokyoではよく見かけたが、台北以外の海外ではあまり見かけない種類の作品たちである。こういうところでもタイと日本の「相性の良さ」を感じる。
Maker Faire Tokyo 2016にDr. Mornが訪れたときに一目ぼれして招聘(しょうへい)につながった佐藤ロボット研究所{.markup–anchor .markup–p-anchor}の佐藤さんもこうした作品に大喜び。

メカトロ、ロボットも満載
マイコンや電子工作といった家庭でできるDIYにくらべ、アルミを切ったり溶接したりが必要なモビリティやロボットはハードルが高い。バンコクのMaker Faireではそのロボットが主役になるほど大量に出品されていて、ここにもほかのMaker Faireとの違いが見られた。

主催のNSTDA内のグループMakerholicから「動くもの」でいっぱいである。カスタマイズ自転車のように人力で動くもの、履帯(いわゆるキャタピラ)で動くもの、タイヤを備えたものなど、さまざまなロボットが展示されている。学生がMakerholicで開発したパワードスーツも展示され、ライブデモをしていた。





こうした産業界や学校からの出展物は、DIYの雰囲気よりも「産業見本市っぽくなる」感が出てきてしまうことにもつながる。 バンコクの場合、会場中いたるところで目に付き、通行人に多少ぶつかっても走り回る面白工作が、それを打ち消してMaker Faireっぽさを拡散していて、こういうクオリティの高いプロジェクトへの関心も引き上げていたように思う。
タイのメイカースペースやスタートアップ
タイでもスタートアップやIoTのカンファレンスが頻繁に行われるなど、「Makerからプロへ」の声がけは盛んにされている。とはいえシリコンバレーや深センのような地の利はなく、ドメスティックに動いているとうまくいきづらい。
カリフォルニアでGravitech{.markup–anchor .markup–p-anchor}というオープンソースハードウェアの会社を経営するDr. Panはそこをつなぐ存在だ。Dr. Panはバンコク生まれのタイ人だが、アメリカの大学を卒業してアメリカ西海岸でGravitechを2006年に起業。今は50人ほどの従業員を抱えるまで成長した。深センのSeeed{.markup–anchor .markup–p-anchor}やニューヨークのAdafruit{.markup–anchor .markup–p-anchor}とは同世代の会社で、Seeedのエリック・パンやAdafruitのレディ・エイダとはよく顔を会わせる。
そしてDr. Panは2015年、自分の経営するMakerスペースをバンコクに作ることに決めた。これから先のビジネスを、半分アメリカ西海岸、残り半分はバンコクのMakerたちと過ごすことを決めたのだ。彼の経験と彼のスペースHOME OF MAKERは、Kickstarterなどに向けてプロジェクトを進めるタイのスタートアップのためのよいメンターとなっている。初年度は市場規模が小さすぎたタイのMaker Movementだったが、今Dr. Panは政府のサイエンスパーク内などでもHOME OF MAKERを運営していて大忙しで、しかもこの「タイとアメリカのMakerをつなぐ役割」には競合がほとんどいないので未来は明るそうである。もちろんバンコクのMaker Faireにも全面協力している。






アジア中がつながりつつある。
前述の日本の佐藤ロボット研究所や深センのMakeblockだけでなく、バンコクのMaker Faireには海外からの参加者も多く来訪・出展していた。バンコクは東南アジアの中心部に近く、とても訪問しやすい位置にある。




バンコクは「なんとなく年に1回ぐらいは訪れたい場所」であり、Maker Faireがこうした東南アジアのMakerたちにとってもいいミートアップの機会になっていると感じた。彼らのうち何人かは東京のMaker Faireにも訪れていて、筆者はMaker Faire Tokyoの前日にOversea Maker Faire Meetup{.markup–anchor .markup–p-anchor}というイベントをしたり、来日する外国人のためのFacebookグループを作ったりしている。今年も開催予定だ。2015年からはMaker Faire Tokyoの公式サイトに英語版ができ、年々充実するなど、どこのMaker Faireも国際化しつつある。
タイのMakerたちに東京で会えるのが今から楽しみだ。
By TAKASU Masakazu/高須正和{.p-author .h-card} on March 21, 2025.
Canonical link Exported from Medium on February 6, 2026.